英語を使用するとき、最初に気をつけなければならないこと
「日本語」→「英語」
この作業を、頭の中で行うこと。
これはNGです。
日本語のときは、日本語で考え、
英語のときは、英語で考える癖を初期の段階から気をつけることが大切になり、
反射的に英語が出るように日々の訓練がものをいいます。
最初は難しいので、細かいことは気にせず、語感というものを育てることに注力しましょう。
客観的なはずの医学の文章に隙間見る異文化
先日、ある医学の文章を見て改めて日本語(を話す日本人)と英語(を話す欧米文化にいる人)の考え方の違いを感じました。
Bipolar(双極障害)という精神の疾患をご存知でしょうか。
これは、超ハイな状態が何週間か続き、
その後、真逆の超ウツ状態の期間が来る、
というのを繰り返すジェットコースターのような精神状態の疾病です。
アメリカにいたときに、一般的な病気だったので私も知っている精神病のひとつです。
日本でも100人に1人はこの病気にかかっていると言われますし、
海外の有名どころでは、マライア・キャリー、メル・ギブソン、デミ・ロバト、ラッセル・ブランドや作家のヘミングウェイ、英国首相だったチャーチルなど多くがこの疾患を抱えています。
厚生省のサイトの症状を説明する部分では、
双極Ⅰ型障害の躁状態では、ほとんど寝ることなく動き回り続け、多弁になって家族や周囲の人に休む間もなくしゃべり続け、家族を疲労困ぱいさせてしまいます。仕事や勉強にはエネルギッシュに取り組むのですが、ひとつのことに集中できず、何ひとつ仕上げることができません。
高額な買い物をして何千万円という借金をつくってしまったり、法的な問題を引き起こしたりする場合もあります。失敗の可能性が高いむちゃなことに次々と手を出してしまうため、これまで築いてきた社会的信用を一気に失ったあげく、仕事をやめざるをえなくなることもしばしばあります。
また、自分には超能力があるといった誇大妄想をもつケースもあります。
どうでしょうか。
違和感はない普通の文章にみえますね。
ところが、英語でものを考えると違和感あり、なんですよね。
National Institute of Mental Healthのサイトの症状では、
People with bipolar disorder experience periods of unusually intense emotion, changes in sleep patterns and activity levels, and unusual behaviors. These distinct periods are called “mood episodes.” Mood episodes are drastically different from the moods and behaviors that are typical for the person. Extreme changes in energy, activity, and sleep go along with mood episodes.
とあります。他、アメリカの権威あるサイトから一般向けの紹介サイトを調べてもほぼこのような描写になります。
何が違うのか
中身は同じ疾病の「症状を」説明しているのですが、描写が違います。
日本語の説明では、どれだけ周囲に迷惑をかけ、どれだけ本人が築き上げた生活が壊れるか、疾病が与える社会的影響を丁寧に説明してくれています。
かたや英語の説明では、病状自体の描写に留まり、その疾病が社会的にどのような影響を本人と周囲に与えるかという説明はまったくありません。5〜6の医学説明サイトを見ましたが、ほぼ上記の説明に留まります。
日本の考え方からのズレ
日本的発想をそのまま英語に直訳して発言すると、違和感を与える1例をご紹介しました。
日本語サイトのフォーカス、それは
周囲の人(本人も)が困る病気なんだ、という視点からの説明。
一方、英語のサイトの方は、
「双極障害」自体へのフォーカス、それは
肉体がどう変化するのか、という視点からのみの説明。
(気分の乱高下がある、睡眠障害が出る、本人には自覚がない、などの客観的描写。)
結論
ここでは、どちらが良くて、どちらが悪い、という問題は挙げていません。
日本語で考えてたら英語のサイトは不親切に映るかもしれませんし、
英語で考えていたら、日本語的考えの方が冷たく感じるかもしれません。
要は、日本語で話すときは日本語の文化も踏まえて考えて表現することが大切ですし、
英語で話すときには英語の背景も考えて表現することが重要だということです。
誤解のないコミュニケーションのために、日本文化も大切にしつつ、同時に英語の発想も育てていきましょう。
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